今日は久しぶりにだんじり談義を…。
好評を頂いた過去の記事から15年前に書いたものを、少々手直ししましてご紹介します。
「大斗(だいと)」のお話です。
祭りの最中、金縄に隠れて見えにくい部分ですね。
屋根回りで組み物の最下段にある大きな枡、それが大斗。
泉州の地車では、これが1つで始まるもの(①)と、2つで始まるもの(②)とがあります。
では、四本柱の上に注目してみましょう。
①大斗が1つで始まるタイプ
▲貝塚市名越(先代)
枡合いが大きくなるため、広いキャンパスにダイナミックな彫刻を描くことができます。
▲熊取町五門(先代)
主屋根全体を支える重要な役割です。
金縄なしの裸だとよく見えます。
▲堺市菱木奥(泉大津市板原町先代)
昭和初期の製作、“大宗”さん作事のいわゆる「仕入れ地車」は、
ほとんどがこのタイプでした。
後継の“大義”さんの代になると貝塚市東などのように、大斗が2つで始まるタイプが採用されてきます。
②大斗が2つで始まるタイプ
▲岸和田市並松町
ところで、こんな疑問を思ったことはありませんか?
「並松町って、なんで枡組みが多いように見えるんやろ??」
…答えは、大斗が2つで始まるから!というのも正解のひとつです。
(もちろん、段数・手先など他の要素もありますが、大斗が2つということで組み物のパーツそのものが多くなります。)名匠・左ヱ門こと櫻井義国師は、この「大斗2つ」から始まる組み方を得意とされてたようです。
枡合いのスペースは当然制限されますが、組物のボリューム感と美しさが強調されます。
▲忠岡町道之町(先代)
言わずと知れた左ヱ門の傑作です。個性的な印象ですね。
▲明治期の左ヱ門の作、泉穴師神社の飯之山だんじり。
側面に破風を備えるため(鬼灯の影で見えにくいですが)、
菖蒲桁(破風持ち)の下あたりにも大斗があります。
▲春木中町
大斗が2つ始まりのタイプですが、その間にある彫刻(小枡合い)と、
1段目の組物の収まり方が工夫されてますね。
大工さんの腕の見せ所が、こんなところにも♪
大工さん、施主さん、それぞれのこだわりが伺える部分。
「大斗」に注目してみると面白いです。
以上久しぶりのだんじり談義でした。
不定期ですが、また次回をお楽しみに。