今日は、私が推してます地車彫刻師・彫陽こと山本陽介師の作品を紹介します。

といいましても、
平成30年、私が自町・板原町の若頭会々長の役目を無時に終えた記念として陽介師に作事していただいたもので、私の自宅にある地下室に保管しているものです。

信じて誠意を尽くしてさえいれば
想いはきっと届く。願いは叶う。
そんな意味を込めて「叶」と題した作です。

この年は、度重なる台風(野分)に苛まれ、自治会や地元近隣地区と力を合わせて瓦礫の撤収や、掃除など祭り以外のことでみなさん協力していただいた記憶に残る年でした。

そんな思いを、思い出にしようと発案し、陽介師に依頼。
幟を手に持たせ、そこに短歌を私の字で書いてみました。
墨を摺り、陽介師と文字通り膝を突き合わせて、一気に書いたことが懐かしく思い出されます。

陽介師の作品は、特に顔の表情に時間を割く。
彫物もまるで人間のような表情を見せます。

指先の仕上げにも特徴がある陽介師。
この作品の両手はそれぞれ、弓矢・幟を握りしめるという力強さを表現。

私の要望としてはただ一つ。
左から右へ「風」を表現してほしい、とだけ伝えました。
腰紐、房、幟、それらを一定方向に靡かせて風を表現。
弓矢の方向も同様に左から右へ。

そして裏面の背中にも注目。
彫陽らしい輪郭のハッキリとした刻み仕事は、素削りが完璧な証。
さらに、なんともいえない哀愁ただよう背中の表現力は、流石。


草履の裏にも細工。

魂が宿る彼の作品は、どこか古くて新しい。

彫陽 山本陽介。
現在、貝塚市森町の新調だんじりを孤軍奮闘で作事中。
ひとつひとつの魂が、巨大な1台のだんじりとして完成したときの衝撃はいかほどのものか。

あと2年、もうすぐだ。