みなさん、こんばんは。
さて、今回は“桁鼻”についてあれこれ見てみましょうか。
地車を見るとき・・・
一般的には、まず最初に破風を見て、枡合いや組物などの屋根周り、そして腰周り~見送りなどへ目が移っていきます。
こんな感じですかね。。
そこで見落としがちなのが、今回ご紹介します「桁鼻」なんです。
「桁鼻」とは(下地車で言いますと)破風を支える“菖蒲桁”の内側にあります。
この桁鼻は、屋根周りの名脇役とも言える気がします。
この部分は、地車によっても形態が様々で、年代によっても作風がいろいろあって見ごたえがあります。中には、古い地車などで桁鼻が付いていないものも。
では、過去に撮った写真の中から一部をご覧頂きましょう♪
(順不同です。)
泉大津市豊中町(先代)
昭和初期の仕入れ地車によく見られる「獏(ばく)」。
屋根全体を新品に変えても「桁鼻」だけは古いものをそのまま使う場合が多そうです。写真では桁鼻の色が新調当時の歴史を感じさせます。
泉大津市板原町(先代:現板原町公民館にて保管)
上記・豊中町先代と同時期(昭和7年)に作成された瓜二つの桁鼻。
岸和田市今木町
籠彫り仕様です。雲の中に鳥が確認できます。
岸和田市並松町
屋根全体は平成の大修理で一新されてますが、この籠彫りの桁鼻は新調当時のものかと。地車に相応して厚みのある寸法が特徴。
忠岡町道之町(先代)
並松町と同様、厚みのある籠彫りの桁鼻。雰囲気あります。
カタチは先に書きました並松町のそれとそっくり。
左ヱ門こと櫻井義國さんの作り出す桁鼻は、これが標準だったのかも。
岸和田市五軒屋町
牡丹でしょうか。花の籠彫りのデザインです。
高石市高磯
こちらも雰囲気あります。小屋虹梁の雲柄から続くデザインです。
岸和田市大北町(先代)
段を付けたラインが特徴。
一瞬、獏?いや獅子?と思うシルエットです。
貝塚市名越(先代・後屋根)
破風の裏面ギリギリのところまで迫ってる長い桁鼻。
熊取町野田区
この地車はまさに横綱級。大修理完成のお披露目が待ちどおしいです。
こんな小さな部分に「猿掴む鷲」が彫られてます!
これは必見!!
東大阪市角田
圧倒的に古いこちらの地車。
その桁鼻は、松良受けによく見られる「コブシ」仕様。
岸和田だんじり会館保管の旧五軒屋町
こちらもコブシの桁鼻。
この時代の地車は「コブシ」タイプが主流だったのかも。。
貝塚市半田町
オーソドックスながら手の込んだ獏。
あっさりとした小屋虹梁との相性もいい♪
泉大津市板原町
半田町同様「獏」。
ただしこちらは井波彫刻伝統工芸師の澤義博さんの作。渋いです。
岸和田市下野町
ご存じ豪華絢爛の代表格といえばこの地車。
その桁鼻には、正面「飛龍」。ちなみに背面は「犀(さい)」。
貝塚市橋本町(主屋根背面)
正面は「獏」ですが、写真の背面には「麒麟(きりん)」。
下野町同様、主屋根の前後で異なるのは、これからの次代の流行に?
泉大津市豊中町
この左右一対だけを見てピンとくる方も多いはず。
はい、車板と一体型で「天之巌戸」を形成。つまりパノラマ仕様ですね。
堺市大鳥(先代)
菖蒲桁と同一のタイプ。これはこれで趣ありますね。
東大阪市玉串
大鳥(先代)同様のタイプですが、わずかに底面が面取りされてます。
小垣内区先代(熊取町煉瓦館保存)
桁鼻そのものが無く、すっきりとした印象。
いかがでしたか~?
結構いろいろあるので見ていて楽しい部分です。
年代、工務店などにより千差万別。バラエティに富んでますね。
あの地車は、どのタイプかな?…そんな思いで見物に挑むと、次なるお披露目曳行も楽しみが倍増しますね。。。
ではまた。