6月25日(日)
帰省している週末。だんじり関連の行事を確認していると、鶴見区古宮神社の祭礼が目に留まった。
浜地車。
岸和田のだんじり製作で有名な老舗のひとつ、植山工務店が請負。
さらに彫刻は「岸和田木彫会」という、W岸和田がタッグを組んだ豪華なスタッフ。噂には聞いてたが、どうしてもその新しい令和の上だんじりを直に拝見したく、鶴見区へ向った。

古宮神社に到着。
趣のある、いい感じの神社。
境内では囃子が鳴り、茅の輪が設置され、夏祭りらしい雰囲気。
お参りをし、お目当てのだんじりが据えられている小屋前に移動。

本宮のこの日。
午前の曳行を終え、陽が落ちてからの曳行まで休憩。
そのタイミングなので、関係者の方にお願いすると快く見学・撮影を許可いただきました。。。

浜地車紹介

製作:令和4年9月
大工:植山工務店
彫刻:岸和田木彫会(純国産)

主な彫刻
※獅噛3丁:岸田師の作
主屋根拝懸魚:正面「朱雀の旋回」(近藤師)
   隣懸魚:右「青龍」 左「白虎」(近藤師)
車板+枡合+虹梁:正面「天の巌戸」
         平右「粟津合戦、巴御前の勇姿」
         平左「義経の八艘飛び」(三方とも山本陽介師)
後屋根拝懸魚+隣懸魚:「醍醐の花見」(近藤師)
車板+枡合:「素盞鳴命大蛇退治」(片山師)
平枡合:(後方より向かって左)月輪(片山師)
    (後方より向かって右)日輪(片山師)
縁葛:【太平記】正面「楠木正成 後醍醐天皇を兵庫で出迎え」
       平右「新田義貞 稲村ヶ崎で宝刀を奉ず」
       平左「楠木父子決別 櫻井の駅」
       後面「四条畷の戦い」(四方とも近藤師)
勾欄合:「富士の巻狩り」
柱巻き左右:「親子昇龍」(山本陽介師)
土呂幕:正面「神功皇后新羅出兵」
    平右「菅原道真、家族を集めて最後の和歌を詠む
    平左「古宮神社にて五穀豊穣を祝う」
    後面「仁徳天皇陵築造」(四方とも岸田師)
三枚板:正面「賤ケ岳」
    後方より向って平左「大江山」
    後方より向って平右「本能寺」(三方とも片山師)

では早速、前後の姿見から。
豪華でどっしりとした風格。
とにかくボリューム感と威圧感が凄い!

屋根回り。

いきなりですが、このだんじりの最大の自慢とも言えるのが、この獅噛。
あの巨匠・岸田師渾身の作で、これまでにも類を見ない傑作。

懸魚と隣懸魚は、近藤師の作。

続いて柱巻き。
正面から見たとき、この存在感が強烈な印象を与える。
この部分は彫陽の山本陽介師が担当。

正面虹梁・枡合・車板が、ひとつの題材「天之巌戸開き」で一体化された彫刻。巨大なキャンパスいっぱいに繰り広げられたその様子は、今にも天照大神が後方から登場してきそう。。。
左右の木鼻を含め、こちらも山本陽介師の傑作。

主屋根内部(後方)には銘板。
その下の虹梁には「見ざる・言わざる・聞かざる」の細工(山本師)。

その右端、よく見るとヤモリがいました♪

木鼻も山本陽介師の作。
下だんじり風の木鼻で、手には地元特産の蓮根。

主屋根右平。
正面同様、虹梁と枡合とが一体化されているので迫力満点。(陽介師)

横へ移動して三枚板。
この3方は、片山師の作。ものすごい迫力で、しかも網無しがまたいい。

脇障子には「大江山」と記されています。

「おにたいじ」の文字に、片山さんの意匠。

後屋根桝合。
大江山の上空、月とコウモリかな。。

迫力の彫刻で見落としがちなのが、この扇垂木。
柱芯上の桁から5本で開いてます。

三枚板正面「賤ケ岳」。
圧巻。大パノラマです。

秀吉本陣。

木彫会。。。巳さんのしっぽも。

隅っこに、小さな亀さんも発見。

後屋根懸魚は醍醐の花見。近藤師の作。

車板・枡合にはスサノオノミコト。(片山師の作)

屋根回りと腰回りは、こんな感じ。
凄いボリューム。後屋根の獅噛の角は一本。

さすが岸田師!!

三枚板、こちらはおなじみ本能寺。

血走った眼の信長公と、ネズミのかわいらしさが対照的。

本能寺の夜空には満月ですね。(枡合部分)

主屋根向って左の平は、八艘飛び。山本陽介師の作。

陽介師らしい躍動感と繊細さが際立つ作品。

屋根の四方には七福神でしょうか。

後屋根と主屋根との段差が小さい分、納め方に大工さんの苦心の跡が伺えます。

では土呂幕です。
土呂幕は全て岸田恭司師の作。これは貴重!
(左右の力神は前田師の作)

右の隅に「岸田刀」の文字。

こちらは後方。

左の平、太鼓を曳いてますね。

それにしても…
豪華で迫力のある素晴らしいだんじりでした。

時間を忘れて見入ってしまうほどの素敵なひとときでした。

浜だんじり関係者のみなさん
休憩中にもかかわらず、快く見学させていただき、誠にありがとうございました。
岸和田の豪華メンバーによって作事された立派なだんじり。
末永く曳行されますこと祈念いたします。

では、これにて。