だんじりには、様々な「懸魚」があります。
「懸魚」といえば、いわば地車の顔。
十人十色、とでも言いましょうか、標準的なものもあれば個性的なものも、多数存在します。実にいいもんです。
昭和50年代・・・。
大阪・泉州の地車界では「昭和の大修理ブーム」が始まり、同一工務店で修理された地車の屋根回り(懸魚)は、同じタイプがいくつも登場しました。
美しくなって登場してきた地車は、皆「ほぼ同じ」ほどのそっくりな懸魚が標準装備されていきます。
そして平成からの新調ブーム。
型破りの、あっ!と驚くような個性的なものもあれば、あっさりと古風なものまで登場し、バラエティに富んだものが次々に登場し、観る者を飽きさせません。
では、私が勝手に選んだ個性的な「懸魚」をご覧いただきましょう♪
▲岸和田市中之濱町
濱の地車らしく「波に千鳥」。
あっさりとした波頭に濱千鳥が10羽。飽きのこない傑作ですね。
▲岸和田市荒木町
繊細な波頭に黄金のご来光。
千鳥がやや多い印象で、数えてみたら11匹でした。
▲熊取町野田区(後屋根)
昭和の大修理時は、主屋根・後屋根ともこのタイプのものでした。
左右非対称のこのタイプ、実は新調当時を継承したのもなんですね。
▲堺市菱木白木
ボリュームのある波頭。千鳥なし+ご来光。
個人的には好きなタイプです。
▲岸和田市五軒屋町
上部に雲海、中央より下は荒波。そして奥には金色のご来光。
底面に、ヒゲのような手の込んだ波が細工され始めたのもこの頃かも。
▲津久野西組
付け木なし、千鳥なし、ヒゲもなし。
平成に完成の地車ながら「あっさり」した、どこか古風な印象。
五軒屋町同様に、雲海+波頭ですが、中央には富士山があります。
▲堺市上
つい最近修理完成されてますが、写真は修理前のもの。
新調当時から変わらぬボリューム感・重厚感はトップクラス。
サイズもビッグ。遠くからでもここを見ると「上」とすぐわかります。
▲岸和田市紙屋町
言わずと知れた、伝統の一枚懸魚。
まさに紙屋町の代名詞です。
▲堺市中山
昭和50年代に「大常」さんとこで修理された地車には、このタイプが採用された地車が
いくつかありました。
▲堺市八田西町
岸和田市三田町小倉の時代からのもでしょうか。
雲海に5羽の…千鳥ではなく鶴が飛んでます。
▲泉穴師神社飯之山だんじり
左が正面・右は側面。
四つ屋根だんじりの最大の特徴は四方に懸魚があるということ。
▲泉大津市豊中町(主屋根後面)
泉穴師神社の拝殿のそれを模した個性的な懸魚。
これも「宮本」の特権。
▲和泉市黒鳥町上泉
伊勢の「夫婦岩」をデザインにしたものはいくつかありますね。
上泉もそのうちの1台。
▲和泉市小田町
この厚み!ボリューム!
井波彫刻・野原湛水師、渾身の力作。
▲和歌山県・周参見「下地」
正直これには衝撃を受けました。
まさか南紀・周参見の地で岸和田型風の懸魚に会えるとは…。
しかも「波に千鳥」で1枚ものという秀作!
あぁ、もう一度拝見したい。。。
▲泉佐野市長滝中
言わずと知れた4つ屋根だんじり。
その懸魚も古いものをそのまま再現した粋な作。
▲岸和田市大北町(先代)
上:主屋根正面、下:主屋根後面
個人的に、この前後の細工が好きなんですよね~。
▲岸和田市大工町
この平成の時代に、1枚懸魚で登場した古風な姿に感動しました。
さすが大工町!
▲泉大津市板原町先代(板原公民館にて永久保存)
やっぱり、個人的にはコレで締めくくらせていただきます。
醒ヶ井彫・井尻翠雲師の作ですが、他にはあまり量産されませんでした。
ということで、ランダムに個性的なものをご覧いただきました。
この手のものは、まだまだ紹介しきれずに沢山ありますので、また続編をUPしたいと思います。
では、これにて。。。